背中が曲がる、背が縮む、腰が痛いなどの症状は
骨粗しょう症による骨折のサイン!?
「最近、背中が曲がってきた…」「背が縮んだ気がする…」「腰が痛い…」でもそれは、歳をとったせい。そう思っていませんか?
これらの症状は、単なる加齢のせいではないかもしれません。いくつか原因が考えられますが、骨粗しょう症など、深刻な病気が隠れている可能性があるのです。
腰の痛みを感じる方もいますがそうでない場合もあるので、気づかずに過ごしている方がとても多いのです。
背中が曲がったり背が縮んだりする原因
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背骨自体に
原因がある場合- ●骨粗しょう症による背骨の骨折(圧迫骨折)
- ●変形性脊椎症
- ●腰椎変性すべり症
- など
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神経に
原因がある場合- ●脊柱管狭窄症など
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筋肉に
原因がある場合- ●背中の筋肉の衰えにより背骨を支えきれなくなっている
骨粗しょう症で骨折が起こるワケ
骨粗しょう症で、「いつのまにか骨折」!?
●骨粗しょう症は骨がスカスカになる病気です。
骨がスカスカになると、荷物を持ち上げる、尻もちをつくなどちょっとしたことで背骨がつぶれてしまいます(背骨の骨折)。
これを読んでいるあなた、「転んだりしていないし、痛みはないから大丈夫。そんな大げさな病気じゃない」と思っていませんか?
骨粗しょう症によって骨がスカスカになると、自分の体重に背骨が耐え切れなくなって、気づかないうちに背骨がつぶれて「いつのまにか骨折」してしまうことがあります。
大切な骨、どうやって造られているの?
骨は、骨吸収(破骨細胞によって古い骨細胞が壊されること)と骨形成(骨芽細胞によって新しい骨細胞が造られること)を繰り返し、徐々に新しい細胞へと生まれ変わっています。
骨吸収と骨形成の働きのバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回ると、骨が脆くなり「いつのまにか骨折」などの脆弱性骨折が起こりやすくなります。
女性は60代を迎えたら、要注意!
女性は、60代から骨粗しょう症になる割合が、急激に増えていきます。
それは、骨の新陳代謝に女性ホルモンが大きくかかわっているから。
女性の骨量は閉経を迎えると減りはじめ、加齢とともに減少が進みます。
女性は誰もが骨粗しょう症になる危険性を持っているのです。
●骨粗しょう症になると、骨折のリスクが上がります。
日本人の女性は、65歳を超すと複数の背骨の骨折を起こす頻度が
上がるという研究結果があります。
運動もして食事もしっかり摂っているから、私はまだまだ大丈夫!と思っていても、実は骨折のリスクが高まっている可能性もあります。
閉経を迎える全ての女性にとって、骨粗しょう症とそれによる「いつのまにか骨折」はとても身近なものなのです。
1、2)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版 ライフサイエンス出版, 2015より
3) Ross PD , et al. : Int J Epidemiol. 24(6), 1171-1177, 1995より改変
日常生活に影響を及ぼす「いつのまにか骨折」!?
背骨(椎体)の骨折は、痛みを感じないことも多いのですが、次のような症状が起こることもあります。 これらの症状は、肉体的・精神的な負担となり、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
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●痛み
骨折そのものや、背骨の変形による筋肉への負担が原因で、腰や背中が痛むことがあります。
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●背中が曲がる
背骨が圧迫骨折することで変形し、背中が曲がっていきます。
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●身長の低下
2cm以上の身長低下は背骨が骨折している可能性が考えられます。
参考:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版監修:鳥取大学医学部保健学科 教授/附属病院リハビリテーション部部長 萩野 浩 先生
一度骨折すると、さらに骨折しやすくなります。
●骨折連鎖(こっせつれんさ)とは?
骨粗しょう症の骨折は、骨折をすればするほど、続けて骨折する可能性が高くなることが知られています。
そのため、1個でも骨折していると周りの骨に負担がかかり、2個、3個と骨折がドミノ倒しのように次々に起こっていきます。
つまり、骨折が進んで、どんどん背中や腰が曲がってしまう可能性が高まるのです。
●次々に骨折することを「骨折連鎖(こっせつれんさ)」
と言います。
●骨折を繰り返すと、どうなるの?
骨粗しょう症が原因で起こる骨折は、QOL(生活の質)や
身体機能に大きく影響します。
骨折を繰り返すたびに健康状態は悪化し、
骨折を起こす前の状態に戻すことは難しくなっていきます。
ですから、ひとつでも骨折が起きたら、
すぐに骨粗しょう症の治療を開始することが大切です。
骨折で寝たきりになることも…
骨折で介護!?
骨折は自分が痛くなるだけではありません。特に、脚の付け根の骨を骨折すると、多くの場合手術を行いますので、手術後は長期間の安静が必要となり、「寝たきり」になる可能性が高まります。
寝たきりになると、今まで自分でできていたことが困難になり、「うつ病」や「認知症」を患うリスクが高まる※だけでなく、あなたのご家族にとっても大きな負担となるのです。
※ 参考:医療情報科学研究所編:病気がみえる<vol.3>
糖尿病・代謝・内分泌、第3版、メディックメディア、2012より
介護が必要となる人の5人に1人は
「骨折・転倒、関節疾患」が原因!
骨折がきっかけで、寝たきりになることも・・・。骨折は、あなたが気が付かないうちに「いつのまにか」起きていることがあります。
延ばしたいのは、健康寿命。
●ご存知ですか?健康寿命。
健康寿命とは、健康上の問題がない状態で日常生活を送ることができる期間のこと。
現在、健康寿命と平均寿命との間には、女性では12.4年の差があります。
骨粗しょう症による骨折は、健康寿命と平均寿命の差を広げているひとつの原因です。いつまでも健康に過ごすために、背中が曲がった、背が縮んだ、腰が痛い、などのサインにお気づきの方は「いつのまにか骨折」の検査を受けましょう。
監修:鳥取大学医学部保健学科 教授/附属病院リハビリテーション部部長 萩野 浩 先生