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財務省の提案する「要介護1、2外し」が実際に行われれば今まで以上に悲惨な地獄が?

誰にとっても極めて厳しい状況にある介護。 財務省の提案する「要介護1、2外し」が実際に行われれば今まで以上に悲惨な地獄が訪れることになります。
◆財務省の提案する「要介護1、2外し」
この問題がクローズアップされたのは「保育園落ちた」ブログが大きな話題になっていた3月3日の参院予算委員会。共産党の小池晃議員の質問の中で、財務省が介護保険の「要介護1、2」の対象者向けの訪問介護において、掃除、洗濯、買物、食事づくり、薬の受け取りなどの生活援助サービスの全額自己負担を原則とすることを提案したことを取り上げ、批判しました。動画での当該部分は35:02から。

 

参院予算委 小池晃副委員長の質問 – YouTube

厚生労働省の「介護保険事業状況報告(暫定)」(平成27年9月分)によると、要介護認定者数は約616.4万人おり、その中で要介護認定1は約120万人、要介護認定2は約107.4万人。要介護1、2を合わせると全体の37%、約227.4万人以上の生活援助サービスが全額自己負担となるわけです。もしそうなったとしたら、いったいどんなことが起こるのでしょうか?

 

◆出費の10倍増による家族への苛烈な負担
安倍首相と麻生財務相は「介護保険制度の持続可能性」という理由を繰り返しましたが、現在1回当たり250円くらいの利用料が2500円と10倍になることは、要介護者を持つ世帯にとっては極めて大きな出費となります。それでもなんとか払い続けられる余裕のある世帯はマシかもしれませんが、払えなければこうしたサービスを配偶者や子供など、家族が全て負担することになります。

毎日新聞社が4月4日に公表した調査では自宅で家族を介護している人の約7割が精神的・肉体的に限界を感じていたことが明らかにされました。これは介護者支援に取り組む全国の8団体を通じ、在宅介護者245人に対してアンケートを行ったものです。

介護によって精神的・肉体的に限界を感じたことがあると回答した人は73%の179人。介護中に被介護者に暴力をふるった経験があると回答した人は22%の54人にのぼりました。介護している家族を殺してしまいたいと思ったり、一緒に死のうと考えたりしたことがあると答えた人も20%の48人。どんな時に殺人・心中を考えたかという質問に77%が「介護に疲れ果てた時」と答えています。

介護による不眠状態が「続いている」と「時々ある」を合わせると全体の6割に上り、認知症などの症状のために夜間の介助が必要な人は多く、介護者も不規則な生活を強いられることが明らかにされています。また、回答した介護者の年代は60代以上が69%、50代が22%と、いわゆる老老介護が常態化していることも浮き彫りとなりました。

 

◆既に起こっている老老介護の末の殺害という悲劇
そして、今年に入ってからもこうした家族による介護が限界を迎え、殺人という悲劇に発展したケースが報じられています。2月には認知症の妻(77歳)の介護に疲れたとして首を刃物で刺して殺害した夫(82歳)が逮捕され、その後2週間に渡って食事をほぼ拒み続け、衰弱の末に死亡したというあまりにも痛ましい事件がありました。

また4月に入っても、認知症の妻(79歳)を首を電気コードのようなもので絞めて殺害した夫(82歳)が逮捕されました。夫は14年から介護サービスを利用していましたが「介護が大変だった」と容疑を認めています。

毎日新聞の調査を見れば、これらが介護に関する例外的な悲劇であると言うことは全くできません。現時点ですら家族がこれほどの負担を強いられている中、さらに在宅介護に掛かる金銭的負担が大幅に増加し、払いきれない分を家族が自ら補おうとすれば、介護を苦にした殺人や心中はこれまで以上に増えることは火を見るよりも明らかです。

当然のことながら安倍政権の目指す「介護離職ゼロ」とは真逆の方向を向くこととなり、一億総活躍社会どころか介護のためにろくに仕事もできず、大きな負担を強いられる家族がこれまで以上に続出することとなります。

 

◆生活援助サービスと民間の家事代行サービスとは全く別物
また、麻生財務相は民間の家事代行サービスとの料金のバランスについても言及しましたが、これに関しては小池議員が引用した公益社団法人・全国老人福祉施設協議会の意見書が問題を明確に指摘しています。

家事援助についても単純に調理のみ、買い物のみを行っているのではなく、ケアプランに基づき訪問介護計画で明確な目標を掲げて実施しています。実施にあたっても食べ残しやゴミの状況から体調を観察したり、好みの変化や買い物の内容の変化で認知症の症状の進行を把握したりと専門職による支援をしています。特に認知症の独居の人にとって家事援助を民間サービスにゆだねることは、上記の支援が期待できなくなり、在宅生活の維持が難しくなることも考えられます。(日本の経済も財政も壊す政治 これ以上続けるわけにいかない 参院予算委 小池副委員長の基本的質疑より引用)

つまり、要介護者への生活援助サービスは民間の家事代行サービスとは異なり、単に身の回りの家事を代行するだけでなく、要介護者を観察して状況を把握し、専門職による支援を行うことまでが含まれます。こうしたバックアップ体制によって「要介護度を悪化させない」という予防機能が働くことは言うまでもありません。

この提言が民間の家事代行サービスへの配慮として行われたということはよもや無いとは思われますが、全く別の機能を持ち、必要故に介護保険の範疇に入れられている生活援助サービスを原則全額自己負担にしてバランスを取るという方針は完全に見当違いです。

当然ながら、この提言が実行されれば生活援助サービスを負担できない人々の分の仕事は減ることとなり、専門的な支援に携わってきた人々の職も失われることとなります。

 

◆「介護保険制度の持続可能性」の名の下に起こる介護崩壊、そして介護破産という地獄
介護保険制度は続けられなければ意味が無い。一見もっともらしいこの理由の下に「要介護1、2外し」が行われた場合、そこで起こるのは介護者たる家族への金銭的、体力的に計り知れない負担増です。場合によっては仕事を続けられなくなるケースもあるでしょう。

そして、生活援助サービスが担っていた「要介護度を悪化させない」という予防機能が失われることになれば、重度の要介護者がこれまで以上に増えることとなります。ただでさえ低賃金と待遇の悪さから介護士の不足が叫ばれている中、要介護度が悪化しても特養に入れないケースもさらに増加することが考えられます。

そして介護者が限界に達し、介護崩壊、さらには介護破産となれば、行き着く先は先ほど述べたような悲劇しかなくなるでしょう。子供ができなければ育児問題は他人事で済ませられるかもしれません。しかし、生きていれば誰もが歳を取り、やがて老いることは避けられません。老いて病気にかかり、介護が必要になるという可能性は全ての人に共通した問題です。

老後に配偶者の介護で疲れたり、配偶者や子供たちに介護の負担を追わせたりという心配ばかりの現状をさらに推し進めるような提言が、将来の日本のためになるのでしょうか?繰り返しになりますが、これは誰もが自分事として向き合う必要がある重要な課題です。

 

出典  http://buzzap.jp/



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