おとな流 気になるニュースに迫る

おとな流気になるニュースに迫る|第18回「忘れられる権利をどう考えるか?」

第18回「忘れられる権利をどう考えるか?」

みなさんこんにちは、おとなナビの楠田です。

 

本日は、第18回「忘れられる権利をどう考えるか?」
というテーマでお話しします。

 

メールを発信した後、「ありゃ、しまった!」と言うことはありませんか?
一人に送るつもりがみんなに送ってしまったとか、違う人に送ってしまったとか、はたまた内容や表現がおかしかったり、漢字の間違いのまま送ってしまったとかですね。

 

事と次第によっては、大惨事になってしまうこともあります。

 

私は今でも、メールの文章や漢字で後悔することは日常茶飯事ですが、私には過去に痛い思い出があります。

 

私がまだ働き盛りの頃、当時所属していた企業でのことです。
まだメールそのものが珍しかった時代です。

 

メールの恐ろしさを知らない私は、同じフロアに居る先輩にメールで論争を仕掛けてしまったのです。

 

もちろん論争ですから、意見が違うことは十分承知していました。

 

なぜかというと、面と向かって議論した場合、言い足りなかったり言い過ぎたり、感情的な売り言葉に買い言葉になるよりは、理路整然と考え抜いた文章での議論を望んだのです。

 

相手は1年先輩の、多少口は悪かったのですが優秀な方でした。
私と同じ機械工学のエンジニアで、勝手に将来のライバルと見なしていました。
論争に負けたくない気持ちも強かったと思います。

 

ただメールでいくら理路整然と話したつもりでも、なかなか根本のところは詰まらず、だんだん感情的にエキサイトしていきました。

 

結局売り言葉に買い言葉に近いメールのやり取りが続きました。

 

私も若かったのですね。
そこでよせばいいのに、こんな理不尽なことを言っていると、本人だけでなく関係者にも同時配信してしまったのです。

 

味方になってくれると思った関係者の方々は傍観者に徹して、このことに関しては、だれも何も語りません。

 

これを機にメール論争は気まずいまま終わってしまいました。
メールは便利ではありますが、論争をすべきではないとつくづく感じたのでした。

 

その後幸いにも時間と共に、先輩との関係は修復していきましたが、大切な話や論争は、理路整然よりは相手の反応やしぐさを見ながらやらないと、大げんかになると悟ったのです。

私はそれ以降この教訓を守っています。

 

さてメール交換であればこの程度ですむのですが、相手がインターネット上にメールそのものや個人のプライバシーを投稿した場合はどうなるでしょうか。

本来知られたくない秘密の内容が、誰にでも見られてしまうのです。

考えただけでも冷汗がでますよね。

 

本日はこのインターネット上での検索内容を削除できる「忘れられる権利」について、最高裁の判決が出たことについてお話しましょう。

私は法律やITの専門家ではありませんので、以下のお話しには思い違いや間違いもあるかも知れませんので、どうかご理解下さい。

 

インターネットで個人名を検索した時、犯罪歴が検索結果に表示されることが、人権侵害として削除されるべきかどうかが争われていました。

犯罪歴にも軽い物から重いものまで色々あると思いますが、市町村や警察庁が管理する前科情報(犯罪歴)は消えることはありません。

ここで削除して欲しいといっている犯罪歴の情報は、被害者や第三者がインターネット上に個人名と犯罪歴を投稿したものだと思われます。

全く嘘の情報であれば名誉棄損で訴えれば良いのですが、本当のことを投稿されると今回のような問題となります。

本人はもちろん誰も、友人や就職を希望する会社などには、知られたくないですよね。

 

そこで、最近ヨーロッパで話題となっている「忘れられる権利」を求めて争われていたのです。

「忘れられる権利」に対して「知る権利」が重要な論点となり、被害者や第三者の「表現の自由」に対して犯罪歴のある人の「プライバシーの保護」が論議されたものと推測されます。

性善説に立てば、本人も十分反省して頑張って行こうとしているのだから、削除してあげたらいいと思います。

また性悪説に立てば、犯罪者は再犯率が高く同じ犯罪を繰り返すので、ネットに公表した犯罪歴を削除しないことが、世のため人のためだと思います。

 

さあ困りました。

 

そこで最高裁の判決は、

「忘れられる権利」には言及せず、犯罪歴を削除しないということでした。

 

私はどちらかと言うと、今回の判決に賛成です。

 

犯罪が婦女暴行などの時は、そうすべきかなと思います。
特に被害者の家族など関係者は、そう思うのではないでしょうか。

 

しかも将来、自由で有意義なネット情報が、故意に権力者などから削除される道を開く可能性もあります。

 

また犯罪歴がある人が、知られないまま、友人とのお付き合いや会社で頑張っていたとします。
それが何かの切っ掛けで犯罪歴を知られた時は、どうなるでしょうか。

 

犯罪には法的な償いと、社会的な償いがあります。
法的な償いは当然終わっていますので、厳しいようですが社会的な償いであると考えるしかないのではないかと感じました。

 

これは完全な綺麗ごとで申し訳ないのですが、友人関係でも会社関係でも、犯罪歴を知っている人との信頼関係を構築できるように努力し、犯罪歴を薄めていくと言うか、検索順位がどんどん下位に下がってしまうことが理想なのかなと思った次第です。

 

犯罪歴だけでなく、デマやフェイクニュースの類も削除された方がよい場合もあると思います。

 

ただ削除が可能になったら別のデメリットがでてきます。
国家権力が自分たちのためにならない情報をどんどん削除してしまうことです。
正に現在の中国がそうなっていますよね。

 

そう考えると、削除するのではなくデマやフェイクニュースの発信そのものに、警告を発したり、取り締まったりする方向が良いのかなと思いました。

 

さてこれまでは、ネット上での「忘れられる権利」についてお話ししましたが、最近お会いした方から意外なお話を聞きましたので、ご紹介しておきましょう。

 

社会的な地位も高く家族もいるそれなりの方なのですが、「私は私の生きた痕跡を全て消してこの世を去りたい」と言われました。

 

「名前を歴史に残したい」「私が生きた証を後世に残したい」と言うのが一般的ですよね。

 

その方は理由をはっきり言われませんでした。
積極的に残そうとしなくても、戸籍や家族の記憶などそう簡単には痕跡を消せないことも事実です。

 

私はこのことに関して、理解できずにいます。
私の中でこのような価値観もあるのかと、考えさせられているところです。

 

生きた痕跡を消してしまいたいとうことに、私なりの結論がでましたらまた別の機会にお話しさせていただきたいと思っています。

 

現代社会においては、ネット上の情報でも生きた痕跡でも「忘れられる権利」は簡単に認められそうにありませんが・・・・。

 

さてみなさまはどう思われましたでしょうか。

 

楠田正博



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